トタンを鳴らして降る雨に
とつとつと語る音は似て
どもりとぼしい言葉を抱けば
時の褥にまだ愛を呼ぶ
遠ざかってゆくとして 月日も人も
通り過ぎずにいてくれた一刻を留めたい
とこしえの約束より束の間の嘘は鮮やかで
土用波にさらわれたのか誘われたのか定かではなく
燈火ゆられて秋に気づけば
とうに忘れたつもりの三日月
どうしても黙ることができない
どうしても話したくない
どちらも心はあなたへ向いて
帷から漏れる月明かりが照らす古い船
どんなふうに生きてきて
どれだけの道を歩いたの
泥にまみれて泥を飲んだ日
どこで生きてもあなたのままで
年月に霞まない人よ
とりとめないほどいとしくて
とめどもないほどたいせつさ
とんとごぶさたさりとてあいは
とどろきみなものつきさえゆらす