頭文字・つ

翼をおった1975年
ついぞなくそこに響いた歌声を
月日が流れた平成の片隅に私は聴く
罪を詠むことも愛を呼ぶことも
疲れはてた心に傘をさしてくれた

冷たく肩に降る雨を知ってもなお
つかのまの思い出が捨てられず
ついばむ嘴は自分かもしれない
月の涙は暮秋の雨だろうか
つたう背中は幻となりはてて

つらぬくおもいはうつくしく
つくりわらいでむじょうをほぐす
つよがりこじらせぶあついひふを
つねればいやでもゆめからさめる

ツンドラ地帯の星空を
連なり渡ってゆく影は
突き刺す光の痛みを知って
積もる白さの温みも知って

つかんではなさないよりも
つないでひっぱりあえたらすてき
つたないでんわもいとしいものさ
つれないそぶりもいとしいままさ


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