しぐれ

時雨秋 土の匂いに誘われ
凍る前の水に映した
幸や不幸を見乍ら

帰り道でも旅路でも
背中はどこか寂しげだ
だから旅人は皆
厚めの上着を羽織る

首もとに吹く風で冬を知る
髪を撫でる風に春を思う
南風が夏を告げる
時雨に秋を見る

小夜時雨 耳を伝って流れて
二人の余韻も流してくれ
響きがいとしいうちに