頭文字・ぬ

脱ぎ捨てた服が舞う風は 春でも秋でも悪くない
濡れねずみとなり果てるなら 夏がなおさら上出来ね
濡れ羽色した袖ゆらし 窓辺の雪のあかるさで
濡れ文したためしたたる慕情は どの季節にも染まれないまま

ぬかるんだみちのあしあとも いびつなたしかなわたしのかたち
ぬくもりだけではふやけてしまうと とびこんだうみはくりあなじだい
ぬるいこころでたたかったなら あなたとのひびをうらぎるようで
ぬけがけのもしや こうみょうよりも なもなきむおんのあいにしずむわ

糠星を数え疲れて眠るまで
拭うなみだも朝には乾くと
抜け殻みたいなショールを羽織り
縫はれた夢の中でも君を

抜け落ちた4年間に言葉は遠く メイジャーのコードでさえ指が震える始末
塗りつぶした色もいやに単調で あの人に見せたかった景色には程遠い
濡れ衣だと叫ぶ声が 月次の活字よりも冷たく肩に降ってくるようだ
酸漿に見送られた背中を 追いかけようにもすでに夕日に溶けている

ぬーぼーろまんのきれはしに
ぬけぬけとあいをかたりたい
ぬいめのほつれたしゃつをつばさに
ぬかあめのなかでうたいつづけよう


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