かげろうが揺れるなら
鼻先の思い出は幻か
限りのある道とて
数えたくなどないのサ
立ち止まる瞬間を
切り取って飾るのかい
立ち尽くす すり減った
踵に気付きもせずに
されど拳は 深爪のまま閉ざされ
ここで暮らせと ぬるい風が戸を開ける
かげろうが揺れるなら
つま先の名残は幻か
限りある季節とて
唱えたくなどないのサ
くたびれたため息を
切り取って語るのかい
主語を伏せた手紙の
宛名をからかうように
されど拳は 振り上げるよりも易く
ここで休めと 吹く風に綴っている
かげろうが揺れている
幻だと〆れば物語
夢の果てが嘘なら
裁きたくなどないのサ